地域おこし協力隊の情報ってググるとどちらかというと不満が書かれている記事が多いように感じます。
また、全国だったり一部地域での地域おこし協力隊の会議や集まりで話し合うと不満の声がちらほら聞こえてきます。
話を聞いてみると協力隊の不満については、受け入れる行政に問題がある場合、地域住民に問題がある場合、協力隊自身に問題がある場合の3つのパターンに分けられると思いました。
そこで、この地域おこし協力隊が自治体、地域住民、協力隊員からみてどういう意義があってどういうところで摩擦が起こっているのかを掘り下げてみたいと思います。
掘り下げていくことでこの制度の本質が伝われば幸いです。
自治体から見た協力隊
実はここだけでも一記事書けるんじゃないかと思うほど、自治体の協力隊に対する気持ちは千差万別です。
ここでは3パターンの自治体を紹介し、そのパターンの場合においての協力隊の存在意義を分析してみたいと思います。
業務の補助員パターン
実は、多くの自治体は少子高齢化のあおりを受けて、人手不足状態になっています。
そこで、「協力隊という制度があるからこれを使って人を入れるか。正職員を採用するより財源が国になるからお得だし」ということで協力隊を募集します。
こういう自治体の場合、協力隊の存在意義は「用意された行政としての職務を全うしてくれる」こととなります。
特別任務請負人パターン
「わが町は若者の姿が見られず活気がなくなってしまった。何とか活気を取り戻してほしい!」ということで、町の活性化を期待して、協力隊を募集します。
その際、UIJターンの促進やその土地の特産品をもっとPRしてほしいなど、ミッションを選定していることが多いと思います。
このパターンで求められるのは、そのミッションに対する専門性とKPIの設定能力、さらには民間体験者ならではの柔軟な思考が求められます。
「おっしゃー!求められてるー!燃えるぜー!」
な感じの思考の方で、バリバリ成果が伴う方にはいいかもしれませんが、期待が大きい分、実績が出てこないと2年目、3年目の居心地は良くない感じになってくるかもしれませんね。
この場合、協力隊が「地域を盛り上げてくれる」ことが存在意義になります。
特別交付金目当てパターン
「お、協力隊を入れると一人につき400万円ももらえるだ、ラッキー!」
そうなんです。地域おこし協力隊を採用すると国から400万円を受け取ることができます。
協力隊の賃金と活動費等で活用するようにというものです。
私が所属していた自治体では決してそんなことはありませんでしたが、知り合った協力隊の中で、「赴任したけど何をやってほしいのか具体的になっていない、自治体が何をやってほしいのかわからない」と言わせてしまう自治体にとっては、「特別交付金がつけばいい」ということが、協力隊の存在意義になります。
地域住民から見た協力隊
最近は「地域おこし協力隊」という名前も少しずつ認知度が上がってきましたが、制度を理解している地域住民の率はそう高くありません。
地域住民のマジョリティは「なんか自治体の制度でようわからんけど若者が来た」という意見が多いと思うので、もし協力隊になったときは、10秒くらいで自分の業務を語れるようにしておきましょう笑
孫のような若者が来たパターン
「なんかよう知らんが、都会からわかもんが来たらしいのぉ。なんにせよ、じじばばばっかりのこの集落に孫みたいなのが来てくれたのだから歓迎してやらねば」な感じで、歓迎してくれる地域は比較的多いのではないでしょうか。
そんな中で、町を村を盛り上げるためにやってきたとなれば真っ当なことをやれば応援してくれる人も増えると思います。
そんな地域住民の方からしたら「若者が頑張っている姿」が存在意義になります。
自治体と地域課題がずれてるパターン
協力隊「東京から協力隊という制度でやってきました!ミッションは地元原産の××を活用した観光振興です」
住民「確かに××は特産品だが、それを使って観光客に来てほしいとは思っておらん!」
極端ですが、このように自治体と地域住民の地場の活性化に対して意見が食い違っているところに、自治体側の人間として協力隊が投下されるパターンがあります。
こうなると、自治体側につくか地域住民側につくかどっちが真っ当なことを言っているかを協力隊員としては見定めていかないといけませんね。
この場合、存在意義としては、地域住民側に立てば「地域に貢献する若者」になるでしょうし、自治体側に立てば「地域住民と役場のクッション材」となります。
排他的地域パターン
「よそから来たもんの力はいらん!」
ここまで極端な言い方をされることはないでしょうが、ソフトな感じで距離を置かれるパターンです。
「どうせ任期が終われば帰るんだろう」
「地域の問題は地域に長く住んでいなければ解決できんよ」
と、「お客さんならともかく、おらが村の一員としては認めんよ」という地域の場合の協力隊の存在意義は「一見さん、いらっしゃい」です。
協力隊から見た協力隊
「地域に身を移したい」
この思考に至るにもいろいろあると思いますし、制度を見て、募集要項を見て、さらにいろいろ思うところがあると思います。
若干無理やりでありますが、ここも3パターンで協力隊員が協力隊になる動機を挙げてみます。
使命感に燃える隊員パターン
「このコンテンツを使って地域を盛り上げてほしい」
「はい!喜んで盛り上げさせてもらいます!」
与えられたミッションをなんであれ、しっかりこなします。
ただし、成果を出したのに自治体や地域住民から認められないとすねやすいです。
このパターンの方の協力隊制度の存在意義は「地方に求められたい」ということになります。
目的明確隊員パターン
「子育ては地方でやりたいと思っていたら、協力隊の募集があったんでとりあえず応募してみたんだよね。準備が整ったら自治体は辞めますよ」
キャリアのある人はこのパターンが多いかもしれません。
このパターンの方の協力隊制度の存在意義は「移住の準備」ということになります。
とりあえず都会を脱出してみたパターン
「地方に行きたいというよりは都会を出たかった」
こういう意見の方、協力隊に意外といます笑
「とりあえず、地域に来たからにはその自治体でそれなりのことはするけど、任期終わったら帰るかなぁ」
このパターンの方の協力隊制度の存在意義は「人生の腰かけ」ということになります。
まとめ
いかがでしたか?
ざっとこの9つの視座から地域おこし協力隊というものを見てみても求めるもの、求められるものが全く違うことがわかりますね。
どのモチベーションが正解というより、それぞれがじゃんけんのように相性があって、つながりが良好であれば、モチベーションはともあれ、任期中は有意義なものとなり、任期満了後の協力隊の定住率も違ってくると思います。
3者とも会えてよかったとなれば、この制度は大成功でしょうし、このような事例が増えれば、地域も盛り上がっていくのではないでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。