新在留資格「特定技能」は大失敗だった!?

新在留資格「特定技能」は大失敗だった!?

「特定技能」がスタートして約1年が経ちました。

期待されていた制度が、現時点ではどのように外国人たちに受入らえているのか。

新聞のアンケート等を引用し、深堀してみたいと思います。

「特定技能」の現状

制度ができた背景

2019年4月より施行された新在留制度「特定技能」。

これまで多くのいわゆる働く外国人は、在留資格「技能実習生」で来日していました。

しかし、技能実習制度はそもそもが、

「日本の技術を海外の若者が学び、その技術を用いて、本国の発展に寄与してもらう」

というのが目的であり、労働者を受け入れるための制度ではないというのが日本政府の思うところでした。

しかし、実際はというと、企業は少子高齢化で深刻な人手不足となっており、技能実習制度を活用し、人手不足を補うところが多かったのです。

本音と建前がズレていた制度は、海外からも決して評判のいいものではありませんでした。

そこで、何とかしなければと生まれたのが「特定技能」で、多くの労働者(及び候補生)は「技能実習」ではなく「特定技能」に移行するだろうと期待されていました。

2019年末までの「特定技能」取得者数

2019年12月末までの特定技能取得者は「1,621人」でした。

政府は制度設置初年度の見込み数を「50,000人」と発表していたので、現状では想定を大きく下回る数字となっています。

外国人の「特定技能」の認知度

西日本新聞が2020年2月25日に外国人労働者305人(うち技能実習生115人、留学生113人)にアンケートをとりました。

そこで新在留資格「特定技能」を知っていますかと聞いたところ、

「4割」が知らないとの回答でした。

また、特定技能のビザを取得したいかという質問には

「43%」となっています。

しかし、技能実習生のみだと「72%」、留学生のみだと「32%」と開きがあります。

これは、技能実習生は特定技能に切り替えると、賃金が上がることが見込まれているためで、一方で、日本に長く滞在したい留学生たちからすると特定技能は期間が過ぎれば帰国しなければいけないというイメージが先行しているためだと考えられます。

働く外国人の全体の数は?

技能実習生や留学生など、日本で働く権利を持つ外国人の数は現在「165万人」を超え、過去最大となっています。

コロナウィルス(covid-19)の流行などで、海外の日本を見る目は若干シビアになっていますが、今後も増加傾向にあると思われます。

今後の考察

働く外国人の滞在満足度

上記、同記事によると、現在の賃金に満足している人が「62%」、現在の職場環境に満足しているが「85%」となりました。

アンケート回答者数の絶対数が少ないので、大勢の意見がイコールではないと思いますが、日本に滞在する外国人の過半数は満足していると、今のところはとらえても良さそうです。

どういうところが不満

困っていることは順位にすると以下のとおりでした。

1位 言葉が通じない

2位 物価が高い

3位 文化や習慣が違う

4位 趣味や遊びの時間・場所がない

5位 医療・法律・税金について

という順番でした。

1位と3位については留学生だと、むしろ楽しむところではないかと思うので、技能実習生の回答が多かったのかなと推測します。

これまでのいわゆる「国際交流」というのは、留学生のように日本に関心のある層が来日することが、ほとんどでした。

このため、これまでの「国際交流活動」というのは、日本に関心のある方へ日本の文化を伝えることが主流でありニーズに合う活動だったと思います。

しかし、技能実習生など、お金を稼ぐ来日する人たちからすると、日本文化に関心がないことはないが、それよりも、仕事以外での生活の部分では、なるべく本国と変わらないような環境を求める人が増えているように思います。

「国際交流活動」もアップデートする時期にきているのかもしれませんね。

最後に

コロナウィルスが流行したり、某国のミサイルが国をまたいだり、地震や噴火などの天災・人災が、日本では後を絶ちません。

ある知人の働く外国人から聞いたのですが、そういった時に外国人たちが思うのは、己の身の安全もあるが、本国の家族たちに心配を与えてしまっているということだそうです。

家族の帯同が、技能実習、特定技能1号では認められていません。
(特定技能2号は可能です)

家族帯同を認めるのは日本にとって一長一短であり、大きな政治的決断となると思います。

実際に「特定技能」が国会で議論され始めた当初は、1号の時点から家族帯同を認めようかという動きに一部でなっていたようですが、2号からのみということになりました。
加えて、2号が適用される業種は現時点で、「建設業」と「造船・船用工業」の2種類のみです。

事実上、決断を先送りにした形となっています。

外国人労働者を受け入れるかどうかの第一フェーズは終わり、末永く受け入れていくのか、短期的に受け入れていくのか、なるべく多くの日本国民が認識した上で、外国人との共存・共栄社会が実現できるといいですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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