外国人技能実習制度とは?

「外国人技能実習生が30万人を超え過去最大の数となりました」
「技能実習生の失踪が問題化している」
「あぁ、うちも人手不足だから技能実習生を雇うか」

最近、ニュースなどで「技能実習生」という言葉がよく出てきますね。何やら外国人労働者と関係があるんだろうなと、なんとなく認識されている方は多いのではないでしょうか?

今回は、「技能実習生」の制度についてなるべくシンプルに書いていきたいと思います。

技能実習制度ってなに?

外国人技能実習制度は平成29年11月に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下、技能実習法)に基づいた制度です。

技能実習の目的は本法第1条に「人材育成を通じた開発途上地域への技能・技術又は知識の移転による国際協力を推進することを目的とする」と書かれています。
つまり、技能実習生は正確に言うと労働者ではなく、母国の発展に貢献するために日本に勉強にやってきた人ということです。

日本に滞在できる期間は最長5年間です。

ただ、実習を施すのが国ではなく、それぞれの分野の企業が担っていること、また企業が技能実習生を受入れるにあたって労働基準法等を遵守する必要があるので、扱いとしては「技能実習生=労働者」と現場では思われやすいのかもしれません。

ちなみに、技能実習法では企業、または雇用主のことを「実習実施者」と言います。

監理団体ってなに?

技能実習制度には、企業が単独で実習生を受入れる「企業単独型」と「団体監理型」が存在します。「企業単独型」が仕組みはシンプルですが、条件として海外に事業所があったり、国際取引が10億円以上あることなどハードルが高く、ほとんどの企業が「団体監理型」を活用しています。

この「団体監理型」を活用するには「監理団体」と契約する必要があります。

「監理団体」は非営利の団体でなければいけません。現状では事業協同組合が国からの許可を得て、「監理団体」となるケースが一番多いようです。
「監理団体」は海外にある人材派遣会社等「送出機関」と契約を結び、技能実習生候補生と実習実施者のマッチングや、関連書類の作成や「技能実習機構」への提出のフォロー、通訳・翻訳のフォロー、来日後の実習生のフォローなどを行います。
それらにかかる費用を補てんするため、非営利とはいえ、管理費を徴収している「監理団体」がほとんどです。

「監理団体」の許可については2段階あり、はじめのうちは「特定監理団体」と許可を受け、一定期間大きな事故もなく、諸条件をクリアした場合、「一般監理団体」としての許可を得ます。
実習実施者にもこのように2段階に分かれており、どちらも「一般」として許可されると5年間、実習生を受入れることができます。特定の場合は最長3年間です。
ちなみに実習生を受入れられる人数が増えるなどのメリットもあります。

技能実習機構って?

「技能実習機構」は「技能実習法」により設置されました。
事務所は東京に本部事務所があり、さらに全国13カ所(札幌、仙台、水戸、東京、長野、富山、名古屋、大阪、広島、高松、松山、福岡、熊本)に地方事務所・支所が存在します。
「技能実習機構」は主に以下のような業務を行います。

・技能実習計画の認定
・実習実施者の届出の受理
・監理団体や実習実施者に対する監督・指導
・監理団体の許可申請の受理
・技能実習生からの相談や申告についての対応

まとめ

いかがでしたか?

「技能実習制度」は細かいところまで掘り下げていくと結構複雑です。
背景には

①本音と建前のずれ
②日本人による制度の悪用への対応
③外国人による制度の悪用への対応

この3点の問題を解決していこうとして、結果としてこうなったのかなと考えています。
確かに「技能実習制度」をさらに拡張していくよりは「特定技能」という新しい人材不足の業界に労働者を迎え入れるための制度を設立し、こちらを活用してもらいたいという政府の考えもなるほどと思います。

技能実習試験や失踪や各国の送出機関の事情などまた別の機会に書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

在留資格カテゴリの最新記事

Translate »